政治(国際)

2008/06/21

馬英九は盧武鉉とは違う、と思いたい

台湾の馬英九総統の支持率が5割まで急落し、早くも人気に陰りが出ていることが台湾メディアの世論調査で分かった。
馬総統が就任してからまだ1ヶ月だが、20日付の主要紙、聯合報によると、馬政権に「満足」するとしたのは就任時の66%から50%に急落。一方で「不満足」は10%から30%に増えた。
不満理由のトップは物価問題で、61%が「不満」と回答。が、今回の尖閣諸島近海での事故に対する対応でも「不満」が43%にのぼり、「満足」との回答35%を大きく上回った。

これについて朝日新聞は――領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島海域での遊漁船沈没事故を巡って日本との間に緊張を招いたことや、物価・経済政策のまずさなどが不満の理由に挙がっている――と書いている。
台湾の民放テレビ「TVBS」の調査でも、馬政権の危機管理能力について51%が「不満」だと答えている。これも、台湾世論が事故処理を巡る馬政権の意思決定の混乱や、良好だった対日関係を損なう結果になったことを疑問視していることの表れであろう。

ここで、今回の尖閣諸島近海での事故をめぐる動きを時系列で整理してみよう。

6月10日、尖閣諸島・魚釣島付近の日本領海で台湾の遊漁船が日本の巡視船と接触し、沈没した。
第11管区海上保安本部(那覇)は、巡視船が船名確認のため接近したところ、台湾船がジクザグ航行をして接触・沈没したと発表。

12日、台湾立法院(国会)は、尖閣諸島周辺への軍艦派遣の要請書を国防部(国防省)に提出した。

12日、台湾の馬英九総統は、「釣魚台(尖閣の中国語名)は中華民国の領土である」と述べ、総統として日本に賠償などを要求する声明を発表した。

13日、台湾の劉兆玄・行政院長(首相)は、日台間の領有権争いに関する議会答弁で「最後の手段として開戦も排除しない」と発言した。
が、午後には「先ほどの発言を少し修正したい。私は一貫し、一戦も辞さずという言葉を使っていない」とトーンダウン。陳肇敏・国防部長(国防相)も「平和的手段が我々にとっても最もよい方法だ」と平和的な解決を希望した。

14日、石垣海上保安部は、巡視船の船長を業務上過失傷害と業務上過失往来危険の疑いで、遊漁船の船長を業務上過失往来危険の疑いで、それぞれ書類送検した。

14日、台湾外交部(外務省)は、台北駐日経済文化代表処の許世楷代表(駐日大使に相当)を召還すると発表した。台湾外交部の欧鴻錬部長(外相)は、外交部内に設置した日本専門部署の「日本事務会」の廃止を表明。

15日、第11管区海上保安本部の那須秀雄本部長は、記者会見で「巡視船が船名を確認しようと遊漁船に近づいた行為は正当だったが、接近の仕方に過失があった。結果として遊漁船を沈没させ、船長にけがをさせたことは遺憾だ」と述べた。また、台湾側から求めがあれば、賠償する考えがあることも明らかにした。

16日、遊漁船「全家福6号」と巡視船3隻が日本の領海内に侵入した。その後、別の巡視船6隻も侵入。遊漁船は6時50分ごろから7時半ごろまで、「日本は尖閣諸島から即刻出ていけ」と書かれた横断幕を掲げながら同島の周囲約1キロ沖を航行。

16日、台北駐日経済文化代表処の許代表は、与党・国民党の「許氏が日本寄りの発言を行った」との批判に反発し、「これ以上の屈辱を受けることはできない」として、台湾外交部の欧部長に辞職を申し出た。

17日朝、周辺海域への軍艦派遣を計画していた台湾は、派遣中止を発表した。

17日の記者会見で馬総統は、尖閣諸島の領有権を主張した上、巡視船と抗議船の(日本領海侵犯)行動を支持、称賛した。

18日、台湾の陳国防部長は、台湾も領有権を主張する尖閣諸島の日本領海内に、必要があれば軍艦を派遣する考えがあると表明した。

20日、日本側が遊漁船の何鴻義船長へ謝罪の手紙を手渡す。これに対し、台湾外交部の欧部長は「日本側の善意を歓迎、肯定する」とし、今回の問題は落着したとの見方を示した。
手紙は、巡視船を指揮していた第11管区海上保安本部の那須本部長から船長にあてられ、「船を沈没、負傷させてしまいあなたに対して心からおわびする」という文面となっている。

今回の事故で台湾側は謝罪を要求し、日本側は那須本部長から船長個人への「おわび」という形で決着を図った。また、事故調査の過程で巡視船に過失が認められたことから、この過失責任の範囲内で賠償にも応じることにした。
一方の台湾側も、台湾外交部の声明の中で「日本政府」という言葉は使わず、「本部長が心からのおわびを表した」との表現で日本側の対応に呼応。尖閣諸島の主権問題には触れず、議論が平行線をたどっている漁業交渉の再開を求めた。

20日、台湾の欧外交部長は、日本の在台代表機関・交流協会台北事務所の池田維代表と会談し、尖閣諸島沖で違法操業していた台湾の遊漁船が日本の巡視船と衝突、沈没した事故で、問題解決に向けた日本側の努力に謝意を示し、両者は「落着した」との認識で一致した。

以上が事件の大まかな経緯である。

台湾当局の初期の対応は、2006年4月の竹島周辺を含む海域で計画された日本の海洋調査をめぐる韓国・盧武鉉政権の姿勢を彷彿させる。
まったく、馬総統も国民党も8年ぶりの政権奪取に舞い上がり、偏狭な中華民族主義を振りかざすという点では盧武鉉くんや韓国と同レベルと言わざるを得ない。
が、韓国と今回の台湾の違いは、韓国が盧政権や与党のみならず、野党や世論までも一体となって「明白な領土侵犯行為だ」と憤っていたのに対し、台湾では野党が「(馬政権や国民党を)やりすぎだ」と非難し、世論も馬政権や国民党に一定の距離を置いていたという点だ。
朝日新聞も――良好だった対日関係を損なう結果になったとして、対応を疑問視する意見が強い――と書いている。

今回の日本側の対応を「屈服」と受け取るのか、台湾で多数派を占める親日派、親日世論を意識した上での「政治的配慮」と受けとめるのか、それは個人によって違うだろう。
が、私は、馬政権が「日本政府」の謝罪ではなく「本部長個人」による「船長個人」に対する謝罪で矛を収めたところに事の本質があると思う。
要は、米国と、日本の親台湾派(反中共派)、台湾の親日派、この三者の圧力に馬政権と国民党が抗し切れなかったということだ。

中共は未だに台湾の武力解放(統一)をあきらめていない。一方、台湾人は「統一せず、独立せず、武力行使を許さず」の現状維持派が多数派である。このような状況下で中華民族主義に走るのは台湾の国益を損ねるだけだ。馬総統もそれを自覚していたのではないか。
でなければ、北朝鮮が南鮮(韓国)の武力解放をあきらめていないのに、対北宥和策を取り、反日・反米民族主義に凝り固まった盧政権と五十歩百歩である。
「馬英九はそこまでバカではない」と思いたい。

実は、わが国は7月1日から「領海外国船舶航行法」を施行する。讀賣新聞は社説で、今回の事件を念頭において次のように書いている。
――これまで人命救助など正当な理由がなく領海内にとどまり、示威行動する外国船舶に適用できる明確な法令がなかった。今後は「立ち入り検査」や「退去命令」などが出せるようになる。違反者に対しては、刑事罰も適用される。
日本の領海を侵犯する外国船舶は、日本側の対応の変化を認識しておくべきだろう――

この讀賣新聞の主張は、実は日本政府の水面下での主張だったのではないか。

参照1:台湾・馬政権、支持率急落 「尖閣」対応などに不満 (朝日新聞)
参照2:台湾:馬政権1カ月 物価高騰や船舶事故対応で支持率下降 (毎日新聞)
参照3:尖閣諸島 台湾は冷静に問題処理を (6月18日付・読売社説)

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2008/01/22

「経済の世界大戦」に勝利できるのか?

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       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

よく、グローバリゼーション(globalization)は、アメリカン・スタンダードの世界的拡大と言われる。が、これは反米主義者のプロパガンダの側面もある。
そもそも、グローバリゼーションの起源は戦後のブレトン・ウッズ体制にある。
ブレトン・ウッズ体制とは、国際通貨基金(IMF))と国際復興開発銀行(IBRD・後の世界銀行)、そして「関税および貿易に関する一般協定(GATT)」を中心とした体制のことで、国際的協力による通貨価値の安定と貿易の振興、途上国の開発によって自由で多角的な世界貿易体制を確立することが目的だった。
この体制は、1929年の世界大恐慌と、その後のブロック経済という世界体制が第2次大戦を招いたという反省によっている。

この体制下でもっとも恩恵を受けたのがわが日本であり、次が西ドイツだった。
その後、日本や西ドイツの台頭と、米国(=ドル)の地位低下により変動相場制に移行し、この体制は崩壊した。が、IMFと世界銀行を核とした途上国の開発とより自由で多角的な世界貿易体制を推進する動きは変わらなかった。
その動きが、今の世界貿易機関(WTO)として具現化されているのである。

WTOは(1)自由(関税の低減、数量制限の原則禁止)、(2)無差別(最恵国待遇、内国民待遇)、(3)多角的通商体制、を基本原則としている。
物品貿易だけでなく金融、情報通信、知的財産権やサービス貿易も含めた包括的な国際通商ルールを協議する場となっている。
つまり、このWTOこそがグローバリゼーションの核心なのだ。

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また「グローバル・スタンダードはアメリカン・スタンダードである」とも言われる。
が、21世紀には入ってからの欧州連合(EU)の拡大はめざましく、域内人口は4.56億人、域内GDPは12兆USドル(2005年)に達している。域内通貨も一部を除いてユーロに統一された。
で、EUは経済のグローバル化が進む中、世界で市場規制の主導権を握ろうとするしたたかな動きを見せている。
たとえば「独占禁止法」だ。

9月には、ファスナーの価格つり上げを狙った国際カルテルに参加したとして、YKKが日本企業でこれまでの最大となる1億5025万ユーロ(約250億円)の制裁金支払いを命じられた。
発電所などで送電量を調節するガス絶縁開閉装置をめぐるカルテル事件では、欧州でほとんど取引実績がない三菱電機や東芝、日立製作所などに制裁金が科された。欧州委は、欧州企業が日本市場に参入しない見返りに、日本企業が欧州市場への参入を手控える合意があったとし、結果的に「欧州の消費者が不利益を被った」(報道官)と説明した。(2007/11/05 讀賣新聞)

規制が強い市場を嫌う企業も、国内総生産(GDP)で米国を上回る巨大なEU市場は無視できず、対応に苦慮している。
ブリュッセルで大企業向けに法令順守の助言を行っているコンサルタント会社では、過去3年で相談件数がほぼ倍増した。多くの企業は、「たとえ違法行為をしていなくても、欧州委の意向次第では欧州でビジネスができなくなる」と警戒しているという。(同上)

あのIT業界の巨人・マイクロソフトも昨年の10月22日、同社に制裁金を科したEUの欧州委員会による決定に同意すると発表した。

もはや「グローバリゼーションはアメリカン・スタンダードの世界的拡大」などと反米気運を煽っている時ではない。
経済の世界大戦が進行しているのだ。

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EUは、EU基準の独占禁止法の厳格な適用だけではなく、製品の安全基準や環境保護対策などでも厳しい規制を設けている。
「公正な競争があってこそ企業は製品やサービスの改善を図り、技術革新と生産性向上につながる」とのEUの基本認識は正しい。製品の安全基準や環境保護対策の厳しい基準も時代の要請だろう。
が、これには、EUという巨大市場を背景にして、「EUの規則が国際標準になるよう仕向け、欧州産業を利する狙いがある」(在ブリュッセル外交筋)というところが要注意なのである。

既にEUは、中国やインドも参戦する経済の世界大戦に勝利するための準備を着々と整えているのだ。
高失業率、特に若者の失業を招いていると批判されながらも、西欧の資本は、今や東欧やロシアに向かっている。だから、旧・東ドイツが取り残されたままになっているのだ、西ドイツと統合されたばかりに。
それでもドイツ資本は、旧・東ドイツではなく、ポーランドやチェコ、ロシアに進出する。グローバリゼーションの中で勝利するにはこうするしかない、それが「資本の論理」なのだ。

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大田弘子経済財政相は、18日に開会した通常国会で行った経済演説で「残念ながら、もはや日本は『経済は一流』と呼ばれる状況ではない」と言及した。
このとき、議場にどよめきが起きたらしい。

大田氏によると「2006年の世界の総所得に占める日本の割合は24年ぶりに10%を割り、1人あたり国内総生産(GDP)は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で18位に低下した」という。

大田氏は演説後の会見で「世界経済の大きな変化の中で、日本の5年後、10年後を考えると、成長力を付けるための改革をしなくてはならない時期にきている」と指摘したそうだが、この「成長力を付けるための改革」がむつかしいのだ。
大手企業の業績は好調なのに、1人あたり国内総生産(GDP)は伸び悩んでいる。これは、この間の円安(国際比較はドル)もあるが、勤労者の所得が伸び悩んでいることが大きな理由である。
バブル崩壊後の苦境から立ち直るために、企業は大胆なリストラを行なった。製造拠点の中国を始めとする海外への移転も目立った。その結果が正規雇用者の賃金の抑制であり、賃金の安い非正規雇用者の大幅な増大である。

確かに景気は回復したが、それは企業業績の回復であり、国民レベルのものではない。だから国内消費が低迷し、本格的な成長軌道に乗れないのだ。
が、賃金を上げれば、正規雇用者の割合を増やせば、グローバリゼーションの中で生き残れない。かといって、このままでは国内消費が回復せず、「成長」なんておぼつかない。

EUだけではない。米国は、既にアメリカン・スタンダードの世界標準化で先行している。中国やインドの追い上げも急だ。
やはり、大田氏が言うように「成長力を付けるための改革をしなくてはならない時期にきている」のは間違いない。
しかし、繰り返しになるが、これがむつかしいのだ。

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大田氏は、中国やインドなど新興国が急成長したことも指摘し、「我が国は、世界経済のダイナミックな変化に取り残され、今後も成長を続けていく枠組みはいまだに出来上がってない」と訴えたそうだが、その指摘そのものは正しい。
が、「今後も成長を続けていく枠組み」を作り上げるには、国民一人あたりの所得を引き上げることが不可欠である。個人消費関連指標は、国内総生産(GDP)の約5割以上を占める最大の需要項目だ。

グローバリゼーションの中で国際競争力を高めようと努力する企業にとっては、人件費の負担が大きくなることは避けたいところだろう。しかし、それではいつまで経っても我が国は豊かさを取り戻せない。
やはり賃上げと、正規雇用者を増やす、これがポイントになるのではないか。

企業の競争力を維持したまま個人の所得も引き上げる、そういう環境を作り出す方策とはどんなものなのか。
企業が製品の付加価値を高めることによって競争力を確保する、製造コストの安さではなく製品の付加価値で「経済の世界大戦」に臨む。
これを可能にする方策まで、今の私は頭が回らない。が、それは民主党が主張するような「バラマキ」でないことは解る。そして、このままでは我が国は「経済の世界大戦」に勝利することはできない、それも解る。

ああ、もどかしい・・・

参照:日本、もはや経済一流と呼べない 演説で「危機感」、議場にどよめき

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2007/09/10

“政治的選択”としての“親米”はどこまで?

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       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

各種報道によると、安倍首相は昨日、11月1日に期限を迎えるテロ対策特別措置法の延長問題で、「民主党はじめ野党の皆様のご理解をいただくため、私は最大限の努力を払わねばならないと考えている。そのために全力を尽くし、職を賭(と)していく考えで理解を得ていく」と述べたそうだ。
これは、APEC首脳会議後の記者会見での質問に答えたのものだが、この発言のあとに「そこで私の職責にしがみつくということはない」と強調した。
この首相の発言は、永田町では、インド洋における海上自衛隊の給油活動が継続できなくなった場合、内閣総辞職もあり得るとの考えを示唆したものと受けとめられている。

アフガンでの対テロ作戦(不朽の自由作戦=OEF)に参加している国は以下のとおり。

アフガン本土に部隊・将校等を派遣している国
米、英、仏、加、韓、モンゴル、NZ、ポーランド、ルーマニア、トルコ等20カ国
「海上阻止活動」(OEF-MIO)に従事している国
米、英、仏、独、パキスタン、加、NZ、日本(8カ国)
米国によれば、「不朽の自由作戦」に対して何らかの協力を行っている国は約75カ国である。

このような状況下で、わが国だけが「一抜けた」というわけにはいかない、これは国際公約であり、一国の総理大臣として政治生命をかける、というのもわからぬではない。
まあ、発言のタイミングの問題はあるだろうが、それくらい重要な問題であるということだ。

ただ、今日は、この件に関してこれ以上言及しない。
それより、この問題の根底にある“日米同盟”及び“日米関係”について、思うところを書いてみたい。

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わが国の政治の主流は“親米”保守であるとされている。歴代自民党政権もそうだった。が、心の底から“親米”というのは案外と少ないのではないかと思う。
まあ、小泉首相は「心の底から“親米”」だった可能性はあるが、大半の保守政治家は“政治的選択”として“親米”を選んでいるような気がする。

なぜなら、日米同盟なくして日本の安全保障は維持できないからだ。
安全保障というのは、政治・経済・軍事のすべてを包括的に捉えなければならない。政治的安定、経済的繁栄、軍事的裏付がなければ、国民の安全と国家の平和を守ることはできない。で、そのためには米国という傘が必要―そういうことだと思う。

私も、そういう意味で“親米”である。

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ただ、米国と真の同盟国になれるか、“東アジアの英国”になれるか、というと、それは大いに疑問だ。
米国人の実に68パーセントが、悪魔がいることを信じているとの統計がある。ダーウィンの進化論を信じている人は、わずか28パーセントにすぎない。
「神様が、聖書に書いてあるとおり、1週間で宇宙を創造した。われわれ人間はサルから進化したのではない。最初から特別な存在として神様が創造したのだ」と信じている人の方がはるかに多く、48パーセントにも達する。
このような米国人の宗教気質(かたぎ)が、米国内でキリスト教右派(原理主義)を伸張させる背景になっている。
こういう宗教国家と「真の同盟国になれる」とは私は思わない。

キリスト教右派(原理主義)が伸張する理由は、悪化する治安、退廃した道徳、伝統的家族の価値の崩壊、カネがすべてという風潮―にたいする反発と危機感、古き良き時代の米国への回帰である。
このような問題意識はわが国の保守的国民と似ているのだが、それがキリスト教右派(原理主義)にたどり着くところがいかにも米国らしい。

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米国を嫌っている国(国民)は多い。もっと正確に言うと、米ブッシュ政権を嫌っている国(国民)は多い、とするべきか。反米意識の強いアルゼンチンだけではなく、同盟国(隣国)のカナダでも、そして今、APECが開催されているオーストラリア(同盟国)でも、反米(反ブッシュ)デモが起きた。

なぜ、今の米国は嫌われるのか?

原因の一つに、米国内でのキリスト教右派(原理主義)の台頭がある。キリスト教右派(原理主義)は、政治的にはネオコン(Neo Conservative)と結びついている。
キリスト教右派(原理主義)は極めて道徳的で、妊娠中絶、同性婚、マイノリティー優遇、ジェンダーフリー、セックスの自由、違法移民、これらはすべて「悪」である。
このあたりの道徳性の厳格さはネオコンも同様だ。
で、何よりも「聖書に書いてある」ことを信じるキリスト教右派(原理主義)は、パレスチナはユダヤ人の土地と思っており、中東(ユーフラテス川からナイル川までの「約束の地」)はユダヤ人が支配すべきと思っている。
このあたりの考え方もネオコンと同じ。

ネオコンは、米国は世界に「自由と民主主義」を広げるために神によって「選ばれた国」だと考えている。だから神により選ばれし米国が、「自由と民主主義」を神に代わって世界に広げていくことは、神からの「使命」だと思っている。

で、彼らはイラク戦争を始めた。
その根底にあった考え方は
①米国型の民主主義を世界に強制すること
②イスラエルの中東支配を成就させること(その手伝いをアメリカにさせること)
③そのためには「先手必勝」の先制攻撃をかけること
である。

まったく乱暴な考え方だが、こういう勢力が宗教的背景を持ってそれなりの力を持っているというところが怖い。

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米ブッシュ政権の第1期目は、文字どおりの「ネオコン政権」だった。
ブッシュ米大統領は、就任後の2002年9月、「米国は、最強の軍事力と政治、経済的な影響力を自国のためのみに用いるのではなく、テロリストや独裁者の脅威から平和を守り、大国間の良好な関係を築き、自由で開かれた社会をすべての大陸に奨励することで、この平和を保ち、拡大させる」というブッシュドクトリンを打ち出した。
これは、まさに“ネオコンの論理”そのままである。
このネオコン流の「自由と民主主義」の“奨励”は、その背後に軍事力があるのだから、他国から見れば“強制”である。こんな姿勢を取る米国(ブッシュ政権)が他国から傲慢と受けとめられるのは、ある意味「当然」でもある。
だから嫌われる。

ネオコン流の、米国式「自由と民主主義」を軍事力と政治、経済的な影響力によって世界に普及させようという考え方は、もはや「価値観」を超えて「イデオロギー」の域に達している。共産主義を暴力(武力)によって世界に普及させるというマルクス主義に通じるところさえある。
まあ、ネオコンのルーツは、東欧出身のユダヤ系トロツキスト(共産主義者)という説もあるので、ネオコンというのはその“裏返し”なのかもしれない。

ネオコンから“転向”したジョンズ・ホプキンス大学教授のフランシス・フクヤマ氏によると、米国(ネオコン)は、イラクのフセイン独裁政権を倒しさえすれば再建(民主化)は容易にできると考えていたそうだ。第2次大戦後の日本が民主化されたように。
これも乱暴な考え方だが、ネオコン流の「自由と民主主義」がイデオロギーであると考えれば納得がいく。

2期目のブッシュ政権は、ネオコンの影響力が低下し、国際協調路線に転換したと言われているが、ブッシュ大統領は最近も、日本の民主化を例に挙げてイラクの民主化が可能であるかのような発言をしている。
まだ、ネオコンの影響力は残っていると見るべきなのだろう、フクヤマ氏が言うように。

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見方を変えると、イラク戦争やアルカーイダ(テロ)との戦いも、「イスラム教原理主義とキリスト教原理主義の戦い」なのだ。
世界を「善悪二元論」で捉え、米国は常に「善」であり、「正義」であるとする。だから、イスラム原理主義者が米国のみならず、米国民であるというだけで敵視するわけだ(けっして肯定しているわけではない、念のため)。

まあ、キリスト教右派(原理主義)が敵視する民主党(リベラル派)が大統領選で勝利すれば、いくらかは変わるのだろう。が、民主党もリベラル票だけでは大統領選に勝てない。で、右派に気を遣うことになる。
つまり、中東(ユーフラテス川からナイル川までの「約束の地」)はユダヤ人が支配すべきと考える人たちが、国民のかなりを占めている限り、テロとの戦いが終わることはないし、世界から「米国の絡む紛争」がなくなることもないということだ。

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韓国の盧武鉉政権は、「韓国の戦略的価値は終わった」「韓国が米国側の要求を受け入れない場合、駐韓米軍を撤退させる状況が来ることもあり得る」とブッシュ-ネオコン政権から恫喝された。
ブッシュ-ネオコン政権が終わっても、米国のこの基本的スタンスは変わらないと思う。わが国が盧武鉉政権のように“反米”に走った場合、「日本の戦略的価値は終わった」と恫喝されることもあり得ないことではない。

西に中国という膨張国家が控えている今のわが国には“米国”という選択肢しかない。それが、世界を「善悪二元論」で捉え、自国は常に「善」であり、「正義」であるとする国であってもだ。
沖縄近海(沖縄トラフ)までを自国領と主張し、現に海底資源の開発を行っている中国。この国と米国を対等に扱い、日・米・中の正三角形を作るという民主党の主張など幻想でしかない。
が、常に「自国の絡む紛争」を地球上に抱える米国と“地球規模”の“運命共同体”にはなれない―私はそう思う。

わが国が米国と利害を共有するのは、東アジアと「中東までのシーレーン」であり、日米が“運命共同体”たりえるのはこの範囲だと思う。

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米国に「日本の戦略的価値は終わった」などと言わせない(つまり“反米”には走らない)。かといって、すべてが米国の言いなりにはならない。わが国の意志を通しつつ日米同盟を堅持する―これが最良なのだろうが、米国との距離の取り方はむつかしい。

やはり、憲法を改正し、自衛のための軍事力及び集団的自衛権とその行使を認める―これが最低条件だろう!で、東アジアにおけるわが国のプレゼンスを軍事的にも高める。
この、わが国の東アジアにおける軍事的プレゼンスの拡大は、極東における兵力を中東までのチョークポイントである南アジアにシフトしようとしている米国の戦略にもかなっている。
逆に言えば、これができなければ、わが国が日米同盟の中で「自らの意思を通す」状況を作るなんて永遠にできない。どこまで行っても「米国の傘」頼みの従属的同盟関係しかありえない。
そういうことだ。

ただ、わが国の政治は、憲法改正が遠のいた状況にある。当面は“政治的選択”としての“親米”を、いびつな形(従属的な形)で進めざるをえない、ということだ。

※データ等の出所は、過去のエントリを参照しています。

関連エントリ1:草の根のキリスト教右派
関連エントリ2:ネオコンとブッシュ外交
関連エントリ3:ネオコン対アルカーイダ
関連エントリ4:ネオコンの影響力は低下したのか?

【追記】
冒頭と右サイドバーのバナー(画像?)は「国境なき記者団」のものです。
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2007/08/26

自由と民主主義は普遍的価値ではない

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       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

民主主義の起源は、紀元前のギリシャの都市国家(ポリス)の一つ、アテネにあるとされる。
当時のアテネでは、18歳以上の男子全員で構成される民会が司法・立法・行政の最高機関になり、直接民主政治が行われていた。

ここまでは、中学校の歴史教育で教えられる(少なくとも私の時代はそうだった)。
が、この民主主義が、奴隷制で成り立っていたことは教えられない(同)。

当時のアテネは市民が18万人。これに対し奴隷が11万人もいた。この奴隷は言葉をしゃべる“家畜”。人間としての権利など全くない。この奴隷の労働のおかげで、ぶらぶらして暮らせる市民たちの民主政治、それがアテネの民主主義だった。

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アテネ以来2000年以上が経過して、再び人間社会に民主主義が登場する。
18世紀後半のアメリカ独立革命、それに続くフランス大革命。
フランス大革命では、自由・平等・博愛の近代市民社会の諸原理が掲げられ、それがその後の民主主義の土台になった。

このときのアメリカ独立革命とフランス大革命で確立された価値観が、その後“自由と民主主義”として欧米諸国に波及していく。
そして、財産権の保障、思想・良心の自由、信教の自由、言論・表現の自由、結社・集会の自由、居住・移転の自由、職業選択の自由などの、基本的人権が尊重される社会が実現する。

が、ここで我々は次の事実に留意しなければならない。
19世紀から20世紀前半にかけて欧米で実現された、この“自由と民主主義”は、アジア・中東・アフリカに対する植民地支配の上に成り立っていたということだ。
欧米の民主主義諸国よりはるかに広大で人口も多いアジア・中東・アフリカが、過酷な搾取と収奪の対象になっていた。そこでは“自由”や“民主主義”は、まったく別世界の価値観だった。

つまりアテネの民主主義は奴隷制で成り立っていたが、戦前の欧米諸国の民主主義は植民地体制で成り立っていたということだ。

構図はよく似ている。

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戦後、アジア・中東・アフリカの多くが独立する。
世界体制は、自由貿易と世界市場、それを前提とした水平分業に移行する(共産圏は除く)。
これは、戦前の「ブロック経済―垂直分業」が第2次大戦を招いたことの反省による。
この戦後世界体制(ブレトンウッズ体制)は比較的うまくいった。が、ここでも“自由と民主主義”は普遍化していない。中東やアフリカ、中央アジアには独裁国家が多い。

これは、自由貿易と世界市場が、その後グローバリゼーションを進行させ、「富める国」と「成長途上にある国」と「貧困な国」に世界をはっきり色分けしたからだ。
で、「貧困な国」が圧倒的に多い。
そういう国では軍部が独裁支配するか、権威主義的政権が独裁支配するか、宗教が独裁支配するかのいずれかである。

つまり、戦後においても、経済はグローバル化したが、“自由と民主主義”はグローバル化していないのだ。この“自由と民主主義”のグローバル化を拒むのは“貧困”である。
で、グローバリズムが世界標準になっている限り“貧困”は解消されない。

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グローバリズムの恩恵を最も受けたのは中国だろう。外資が中国成長の原動力になった。次がASEAN。インドネシアやタイ、マレーシアの成長も外資のおかげだ。ベトナムもきっと成長するだろう。
中国を別として、ASEANで“自由と民主主義”が発展する可能性は高い。

が、中東やアフリカ、中央アジアは別だ。
同じ旧植民地でも、中東は貧困の解消を求める民意が宗教(イスラム教)に流れている。アフリカは、それ以前の段階。つまり、民意の前提となる教育さえ満足に普及していない。
中央アジアもそうだ。前近代からいきなり共産党独裁になり、で、いきなり共産党が崩壊。歴史的にも文化的にも民主主義的価値観とは無縁。

こういう国を前にして“自由と民主主義”を錦の御旗として掲げること自体が馬鹿げている。“自由と民主主義”は、確かに人類が獲得した基本的価値だとは思うが、それが普遍的価値かというと疑問が残る。

-------------------------------------------------------------------

グローバリズムの真髄は、一言で言えば“優勝劣敗”である。そこでは国の、企業の、あるいは個人の競争力が厳しく問われる。
で、このグローバリズムの原理から疎外された国、企業、個人が大勢いる。
つまり、貧困に支配された国、企業、個人だ。

これを無視して、“自由と民主主義”を世界のスタンダードとして掲げ、強制しても、それは混乱と争いを招くだけだ。
私は、米国の誤解というか、思い上がりというか、今のイラクにおける失敗をそこに求める。

国も、企業も、個人も、自らの将来を決めるのは、それら自身でしかない。外から価値観を強制してもうまく行くわけがない。
イラクが“自由と民主主義”の国家になれるかどうかなんて、それはイラクとイラク人の問題・責任であって、米国がとやかく言うことではない。と言うか、言っても意味がない。

“自由と民主主義”は人類が獲得した基本的価値だが、それは未だ普遍的価値ではない。その国のあり方は、その国の国民自身が決めるしかない。外から押し付けても無理だ。
もちろん、人権侵害や違法・不法行為は糾弾しなければならないが、よその国を自らの思いどおりに変えようなんて、驕り以外の何ものでもない。

イラク戦争は、きっと失敗する!!!

参照:第10回  古代ギリシア(2)

【追記】
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2007/08/24

ブッシュ発言に朝日が反発 戦前擁護

このバナーは、2008年8月7日まで常にトップに表示されます。ボイコットに賛成の方はこちらまで。Bandeau_gb
       中国はジャーナリストにとって世界最大の監獄   国境なき記者団

退役軍人の会合で演説するブッシュ大統領 Bush2_2









ああ、びっくりした。
あの朝日新聞が戦前の日本を擁護。
米ブッシュ政権がイラクで苦境に立たされている、ということを書きたかったようだが、ブッシュ氏に対する反発が結果的に戦前の日本の評価につながってしまったという構図。

ブッシュ米大統領が22日に中西部ミズーリ州カンザスシティーで行った演説は、自らのイラク政策を正当化するため、日本の戦後民主主義の成功体験を絶賛、フル活用する内容だったが、半面で戦前の日本を国際テロ組織アルカイダになぞらえ、粗雑な歴史観を露呈した。米軍撤退論が勢いを増す中でブッシュ氏の苦境を示すものでもある。

冒頭は9.11テロかと思わせて、実は日本の真珠湾攻撃の話をする、という仕掛けだ。戦前の日本をアルカイダと同列に置き、米国の勝利があって初めて日本が民主化した、という構成をとっている。大正デモクラシーを経て普通選挙が実施されていた史実は完全に無視され、戦前の日本は民主主義ではなかった、という前提。「日本人自身も民主化するとは思っていなかった」とまで語った。

米大統領、戦前日本とアルカイダ同列視 歴史観に批判 (抜粋)

戦前の日本を批判することが多い朝日だが、さすがにアルカイダと同列視されることには我慢がならなかったということだろう。が、逆に言えば、ブッシュ氏のわが国の歴史に対する認識が、それだけ粗雑で無知であるということだ。

朝日の記事によると、ブッシュ氏は次のように発言している。

日本の軍国主義者、朝鮮やベトナムの共産主義者は、人類のあり方への無慈悲な考えに突き動かされていた。イデオロギーを他者に強いるのを防ごうと立ちはだかった米国民を殺害した。

第2次大戦に着手した時、極東の民主主義国は二つしかなかった。オーストラリアとニュージーランドだ。日本の文化は民主主義とは両立しないと言われた。日本人自身も民主化するとは思っていなかった。

結局、日本の女性は参政権を得た。日本の防衛大臣は女性だ。先月の参院選では女性の当選が過去最高になった。

国家宗教の神道が狂信的すぎ、天皇に根ざしていることから、民主化は成功しないという批判があった。だが、日本は宗教、文化的伝統を保ちつつ、世界最高の自由社会の一つとなった。日本は米国の敵から、最も強力な同盟国に変わった。

朝日は、戦前の日本をアルカイダと同列視することに同意できなかっただけではなく、「ベトナム戦争は米国による侵略」と捉えているから、これにも我慢がならなかったのだろう。
それにしても、オーストラリアとニュージーランドを“極東”と認識しているなんて、ブッシュ氏の“程度”を疑う。

“狂信的”な神道に支配されていた日本は、日本人自身も民主化できるとは思っていなかったが、米国を中心とする自由と民主主義の旗を掲げた“正義の戦い”がそれを打ち倒し、今では世界最高の自由社会の一つとなった――この認識は確かに粗雑だし、我々日本人から見れば偏見でしかない。
が、欧米においてはこういう認識はけっして珍しくないし、極東国際軍事(東京)裁判は、まさにこの前提に立っている。

つまり、アジアの非文明的な野蛮国家を欧米の力で民主化してやったんだと・・・
それはブッシュ氏の次の言葉にも表れている。

我々は中東でも同じことができる。イラクで我々と戦う暴力的なイスラム過激派は、ナチスや大日本帝国や旧ソ連と同じように彼らの大義を確信している。彼らは同じ運命をたどることになる。

民主主義の兵器庫にある最強の武器は、創造主によって人間の心に書き込まれた自由を求める欲求だ。我々の理想に忠実であり続ける限り、我々はイラクとアフガニスタンの過激主義者を打ち負かすだろう。

米メディアも「日本や韓国は国民が同質的であり、イラクとは違う」「歴史から間違った教訓を引き出している」などと批判しているそうだが、戦後日本の民主化は“同質性”だけでは説明できない。
朝日も書いているように、戦前の日本は大正デモクラシーを経て普通選挙が実施されていた。社会大衆党などの無産政党もあり、帝国議会に議席を有していた。天皇制も、実質的には立憲君主制だった。それに農地改革や財閥解体、社会保障の確立などは、革新官僚や改革派の軍人が既に主張していたものだ。
こういう土壌があったからこそ、わが国は「宗教、文化的伝統を保ちつつ、世界最高の自由社会の一つとなった」のである。

戦後の米国の影響力を全否定するわけではないが、戦前のわが国をイラクを始めとするその他の非民主主義国家と同列視するなんて、暴論でしかない。
イラクは、フセインという独裁者がいたからこそ統一と平和を維持できていたのだ。まさに国家という暴力装置が、異質な共同体の寄せ集めであるイラクという国を成り立たせていた。
こんな国で民主化など一朝一夕にはいかない。

ロシアもエリツィン時代に民主化されたが、結局、国が破綻し、プーチンによる強権政治で持ち直した。民主主義の経験がなく、共産党による絶対支配の下(もと)で愚民化政策が行なわれていた国が民主化すれば、破綻するのは当たり前だ。
これは中国にも同じことが言える。中国の民主化は分裂・抗争と≒である。

韓国や台湾が、独裁政権が倒れたあと民主化されたのは、戦前の日本統治による近代化と教育の普及が大きく影響している。米国のおかげなんかではない。

朝日は「テロとの戦いにかけるブッシュ氏だが、今回の演説は日本を含めた諸外国の歴史や文化への無理解をさらした」と批判している。これは正しい。が、「都合の悪い事実を捨象し、米国の『理想』と『善意』を内向きにアピールするものとなっている」という指摘は不十分である。

この演説には、米国の偏見と驕り、そしてその偽善が如実に示されている。「理想」と「善意」を押し売りする米国の傲慢さが。

【追記】
ブッシュ演説の原文は、下記で読めます。↓
President Bush Attends Veterans of Foreign Wars National Convention, Discusses War on Terror

「朝日の翻訳はまったくのウソですよ~」というカキコがありましたが、私がざ~っと読んだ範囲では、それほど間違っていないと思います。
とにかく長いので、英語が達者な方、挑戦してみてください。

【追記2】
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2007/08/09

米民主党はほんとうに親中か?

民主党の大統領が実現すると、米国は親中国に舵を切り、わが国が取り残されるという懸念を示される方がけっこういる。
が、私は、こういう見方はあまりにもステレオタイプにすぎると思う。民主党=リベラル=左派=親中国という捉え方だろうが、そんな単純なものではない。

民主党は、まず、国民の生活レベルの安全を重視する。だから銃規制や環境保護に熱心である。次に、労組が支持基盤なだけに、産業の空洞化による失業の増大に危機感を抱いている。そして、何より、伝統的に人権にうるさい。

こんな特徴を有した政党が、ほんとうに親中国になるだろうか?

有害な食品を輸出する中国。廉価な製品の輸出攻勢で対米貿易黒字を膨張させる中国(つまり米国産業の空洞化を促進する中国)。チベットや法輪功に対して平然と人権侵害を行なう中国。
すべてが民主党の理念に反している。

もともと「自由と民主主義」の普遍化に熱心なのは民主党だった。第2次大戦のルーズベルト、朝鮮戦争のトルーマン、ベトナム戦争のケネディ、「自由と民主主義の防衛」という大義を掲げた大統領はみんな民主党だ。
(逆に、わが国の頭越しに対中関係改善に乗り出したのが共和党のニクソン政権)
現在のブッシュは共和党だが、「自由と民主主義」の普遍化を掲げている。が、本来が民主党だったネオコンが、第1期ブッシュ政権の中枢を占めたことの影響が大きい。

やはり、「自由と民主主義」の普遍化、国内産業(=労働者)の保護、人権の擁護という点では民主党が本家なのである。

実際のところ、民主党の最有力の大統領候補であるヒラリー・クリントン上院議員は、民主党候補討論会で以下のような発言をしている。


Clinton









【ワシントン=貞広貴志】「私は中国製の劣悪な食品は食べないし、子供を病気にするようなおもちゃは買わない」――。

7日に開かれた米大統領選の民主党候補討論会で、ヒラリー・クリントン上院議員が、中国からの輸入品に重大な懸念を投げかける発言を行い、会場を埋めた労働組合員から喝采(かっさい)を浴びた。

司会者は「中国は同盟国か、敵国か」と質問。これに対して、クリントン氏は「中国の為替操作に対処する必要がある」と、中国の通貨当局が人民元安を誘導していると決めつけた。その上で、「中国からの輸入品にも厳しい基準を設けねばならない」と述べ、中国製の安全性の低い食品やおもちゃを“ボイコット”する意向を示した。

中国に関しては、他候補からも「為替操作を続けるなら、(米国の対中)債務を帳消しにするよう求める」(オバマ上院議員)、「中国では大変な人権侵害が続いている」(エドワーズ元上院議員)などと厳しい批判が相次ぎ、さながら「中国バッシング」の様相を呈した。

「中国製の劣悪な食品は食べない」クリントン議員が宣言 (讀賣新聞)

クリントン上院議員だけではない。オバマ上院議員やエドワーズ元上院議員という、他の有力候補も中共率いる中国に否定的なのだ。

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米民主党は、昨年の中間選挙で歴史的な大勝を収めた。で、下院の議長を務めるのがナンシー・ペロシ氏。
彼女はどういう人物か?


Pelosi_3














1987年に初当選した民主党リベラル派のペロシ議員は89年の天安門事件のころから中国共産党政権の民主主義弾圧や国民の自由抑圧を激しく非難し、議員事務所に民主派が天安門広場に作った「自由の女神」像のレプリカや中国人の民主活動家たちの写真を飾っていることで知られる。

91年9月に訪中したペロシ議員は天安門広場で中国の民主化を訴える横断幕を広げようとして警官に阻止され、中国政府から「反中の茶番」と断じられる一方、チベットの現状を「中国による占領」と呼んで、ダライ・ラマや台湾への支持さえ表明してきた。

同議員は以来、中国政府首脳を「北京の殺戮(さつりく)者たち」とまで呼び、先代ブッシュ大統領が92年に当時の李鵬首相と会談した際は「米国大統領がなぜ殺戮者と握手するのか」と糾弾した。同議員は民主党のクリントン大統領に対しても97年10月の江沢民国家主席(当時)をホワイトハウスに招いての国賓ディナー開催に抗議して、「国無しディナー」を主催し、「ブッシュ大統領は独裁者を甘やかせたが、クリントン大統領はその宣伝に努めた」と批判した。

この間、ペロシ議員は下院の審議では中国の世界貿易機関(WTO)加盟の前提となる最恵国待遇付与の法案への反対や北京五輪の開催への反対など、中国糾弾の立場を一貫して保ってきた。

「最も過激な反中」ペロシ新議長誕生に中国も懸念より抜粋

政権に大きな影響力を持つ下院議長にしてこの調子なのだ。
たとえ民主党の大統領が誕生しても、米国が親中に走るとは単純には考えられない。
むしろ貿易赤字と、それに絡む為替問題、それから人権問題などで、逆に民主党政権は中国にとって逆風になるのではないか!

フランス社会党の女性大統領候補が北京オリンピックのボイコットを主張したように、今の中共率いる中国は、リベラル派や左派の敵なのだ。
わが国のリベラル派や左派が親中国(中共)だからといって、それと同じように欧米のリベラル派や左派を判断してはならない。

私は、対中国に関する限り、ヒラリー・クリントン大統領―ナンシー・ペロシ下院議長の民主党コンビは大歓迎である。

【追記】
昨日の讀賣新聞に、米国でNGOによる北京オリンピックボイコット運動が広がりを見せており、中国が神経質になっているという記事が載っていました。
ボイコットの理由は、中国内の人権弾圧とスーダン・ダルフール地方での民族浄化を中国が支持している(反対していない)ためだそうです。
NGOはオリンピック開催中の北京に乗り込むことも計画しているとか。
で、これらのNGOは米民主党の強力な支持団体。

民主党は、やはり「親」中国とはいかないでしょうね。

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2007/06/27

バカはバカと共に死んでいけ!!!

26日、従軍慰安婦問題に関する決議案が米下院外交委員会で可決された。
賛成39対反対2(欠席9)の圧倒的大差。
今度ばかりは下院本会議でも可決されるのではないか。

ただ、我々は、もうこの問題に過剰反応しないほうがいい。
この問題は、在米の反日中国人と反日韓国・朝鮮人に、わが国内の反日日本人が呼応して起こされたものだ。その背後には中共や北朝鮮の影も見え隠れする。
彼らの狙いは、米下院で慰安婦問題での「対日非難決議案」が可決されることそのものではない。
米下院で可決されることによって、それがメディアに取り上げられ、中国内や韓国内での「反日感情」が盛り上がる。そして、日本国内でも「歴史認識の正常化」への反発が強まる。
これが彼らの真の狙いなのだ。
その先には、日米関係に楔(くさび)を打ち込みたいという意図も感じる。

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ジェームス・アワー日米研究協力センター所長は次のように述べている。(抜粋)

ほとんどの日本人にとって、米国議会決議案はなじみがないが、実は
多くの米国人もそのようなシステムがあることを知らない。これら決議案は、単に議員がある問題について述べる意見に過ぎない。決議案が通過したとしても新しい法律ができるわけではないし、何も起こらない。

~中略~

平均的な米国市民は関心もなく、決議案そのものについて知識を持ち合わせていない、採択されてもそのことを知ることさえないだろうということだ。

参照:米議会慰安婦決議案のナンセンス (産経新聞)

リンク先の記事をお読みいただければ、よくわかることだが、米議会と日本の国会は
そのありようがかなり違う。
言えることはわが国は議院内閣制であり、国会の決議は政府にそれなりの影響を与える。が、米下院における決議は「選挙対策」の意味合いのものが多く、普段は米メディアも関心を払うことがないたぐいのものであるということだ。
つまり、同じ議会の決議でも、その重みがまったく違うのである。
事実、第109議会(2005~06年)では、下院だけで1716本もの決議案が処理された。が、そのうち、成立すれば法的拘束力を持つ両院共同決議案は102本だけだった。

このような米下院の決議に敏感に反応することは、かえって反日中国人や反日韓国・朝鮮人、それにわが国内の反日日本人の思惑に乗せられることになるのではないか。

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去る3月18日の讀賣新聞のコラムで、編集委員・永原伸氏は次のように書いている。(抜粋)

米国で今、「奴隷」という言葉が氾濫(はんらん)している。いわゆる従軍慰安婦問題を巡り、米下院が審議中の決議案にこうある。
「日本政府は若い女性を『性奴隷』(sexual slavery)にした歴史的な責任を明快に認めよ」
米メディアも「性奴隷」という言葉を使って、日本の対応を論難している。

おそらく多くの日本人は、慰安婦問題に対し、「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」(1993年の河野洋平官房長官談話)と認識し、旧慰安婦に「心からお詫(わ)びと反省の気持ち」(同)を抱いているであろう。安倍首相も、同様の発言を繰り返している。

だが、日本の官憲が組織的に慰安婦を強制連行していたことを示す旧軍資料は、今に至るも見つかっていない。その事実をあえて無視し、日本は「性奴隷」制の国だったと決めつける米国の物言いには、首をかしげる人も少なくないのではないか。

そもそも米国では「奴隷」という言葉をどんな場合に使うのか。
米バージニア州議会は先月、奴隷制に対する「遺憾」決議を採択した。
この決議は、1960年代まで続いた人種隔離政策や今も根強く残る人種差別と、南北戦争以前の奴隷制とをはっきり区別している。また「謝罪」は旧奴隷の子孫への補償につながるとの理由で見送られ、「遺憾」という表現になったという。

自身の奴隷制は厳格に南北戦争以前のものと限定する。被害者への補償もしない。日本に対しては、実態は軍公認の“売春宿”だったにもかかわらず、安易に「性奴隷」と呼び、補償を迫る――。これではダブルスタンダードのそしりを免れまい。米国の名誉のためにも、こんな決議案は採択すべきではない。

参照:[政なび]日本は「性奴隷」制の国か (讀賣新聞)

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まさに永原氏の言うとおりだ。
米国の対応はダブルスタンダード、偽善そのものである。
が、それが米国であり米国人なのだ、良しも悪しくも。

何しろ、世界中のどこに行っても英語(米語)をしゃべるのが当たり前と思っている国民性の国だ。
だから米民主党のスコット議員のように
「ただ、アイム・ソーリー(ごめんなさい)と言うことが、なぜそれほど難しいのか」
という発言が出る。

スコット議員は、わが国に対する原爆投下に「アイム・ソーリー(ごめんなさい)」と言えるのだろうか???
慰安婦と違い、原爆投下はまぎれもない「戦争犯罪」である。にもかかわらず、米国は開き直るばかりではないか。

米国も米国民も米国メディアも、自分たちが「正義」だと思い込んでいる。こんな偽善者たちにまともに付き合って、反日主義者たちの思惑に乗せられるのはいかがなものか、と私は思うのだ。

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民主党の円より子参院議員ごときは、今年2月の米下院における韓国人慰安婦の証言を受けて、「(被害者証言は)日本国会ですべきことなのに、アメリカで先に実現したのを恥ずかしく思う。 日本がアジアで尊敬される国になるためには、戦争加害責任を明確に負って周辺諸国との友好を促進 せねばならない」と述べている。
まさに、反日中国人と反日韓国・朝鮮人に、わが国内の反日日本人が呼応したという構図そのものなのだ。

普段は「反米」の民主党左派議員が、こんな時だけ米国の威厳を笠に着る。これもまた、まったくのダブルスタンダード、典型的な偽善。

米国の政治家は選挙の票目当てに、米メディアはその傲慢さと偽善性ゆえに、そして日本の反日政治家は自らの無知と無恥ゆえにわが日本国を攻撃する。

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讀賣新聞の永原氏ではないが「米国の名誉のためにも、こんな決議案は採択すべきではない」と私も思う。が、当の米国が無知であり、かつ無恥なのだから、そして目先の打算に流されるのだから、もう私は何も言わない。

が、心の底から軽蔑する。
そして、その米国の威を借る反日日本人は、もう唾棄すべき存在だと思う。

私は、この「対日非難決議案」に、今後これ以上言及しない。
でなければ、私の脳が腐敗する。

無知と無恥ほど怖いものはない。
自覚がないのだから、何を言っても無駄だ!

バカはバカと共に生き、そして死んでいけば良い!!!

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2007/05/13

中・韓―その「反日」の本質

小泉内閣のころ、よく「日本はアジアで孤立している」と言われた。
が、これは親中派や左翼、あるいは朝日新聞に代表される左派メディアのプロパガンダでしかなかった。
実際のところアジアで、いや世界中で日本の首相の靖国神社参拝を非難していた国は中国と韓国、それに北朝鮮くらいしかない。
このためネット上では、この3国を明確に区分するために「特定アジア」とか「特ア3国」とか呼ぶようになった。
では、なぜこの3国は日本の首相の靖国神社参拝を非難するのか?なぜ「反日」なのか?
今日はこのあたりに言及したい。
ただ、北朝鮮はカルト国家なので今回は対象にしない。

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実は中国と韓国の「反日」は本質的に違うのである。

中国は1972年の「国交正常化」以来、80年代後半までは間違いなく「親日」だった。毛沢東は日米安保条約ですら容認していた。もちろん日本の首相の靖国神社参拝を非難することもなかった、“A級戦犯”が合祀された後も。
80年代の中国で、もっとも人気のあった女優は日本の山口百恵であり、男優は高倉健。百恵が主演した「赤い疑惑」は中国で空前のヒットを記録した。
つまり、中共指導部も中国社会の空気もけっして「反日」ではなかったのである。

もちろんこれには事情があった。
一つは、ソ連が中国にとって大きな脅威になっていたということ。それから当時の中国は世界で孤立していたということ。
そのころの中国にとって「友好国」と呼べるのは、アルバニアとルーマニアくらいしかなかった。

ところが80年代後半から状況は一変する。
1989年に起きた天安門事件は中国共産党(中共)の威信を一気に低下させた。なぜなら人民の軍隊(人民解放軍)が人民を虐殺したからである。しかも、改革開放に伴なう市場経済の導入により、共産主義イデオロギーは社会的規範としての役割を喪失した。
中共の威信低下と共産主義イデオロギーの崩壊―つまり、80年代後半から共産党一党独裁の正統性に疑問符がつき始めたのである。
一方、対外的環境を見ると、1991年には中国にとって最大の脅威だったソ連が崩壊した。これにより、反ソ戦略の一環としての「親日」が不要になった。
ここにおいて中共指導部は「反日」に大きく舵を切ることになるのである。

「中国共産党は抗日戦争において中心的役割を担い、これに勝利した」
中共独裁を正当化するにはこれを強調するしかなくなった。
そして「抗日戦争」における共産党の役割をたたえるプロパガンダは、同時に中国を侵略した日本軍がいかに残虐だったかを強調するプロパガンダにつながっていった。

つまり中国の「反日」は、中共体制が抱える内部矛盾の外部転化なのである。
共産党支配の正統性を合理化し、その求心力を維持するために抗日戦争の勝利と「反日」を強調する。90年代に入って強化された愛国・民族主義教育は「反日」教育でもあったのだ。

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以上を読めば、中国の「反日」が政治的な動機によるものであることがおわかりいただけたと思う。

では、韓国はどうか?

韓国の「反日」は、言うなれば歴史的怨念、民族的怨念の発露である。
その起源を私は、1637年の「丙子胡乱」にあると見る。

14世紀末に建国された李氏朝鮮は明(中国)の朝貢国であった。その朝鮮にとって
満州(中国東北部)にある女真族は北狄(ほくてき=野蛮人)であり、軽蔑の対象でしかなかった。
ところが17世紀に入ると、満州で女真族が建てた後金が勃興し国号を清と変更すると、朝鮮に対して朝貢及び明への派兵を求めてきた。
華夷思想に染まっていた時の朝鮮王・仁祖は当然のことながら清の要求を拒絶する。すると、怒った清の皇帝・太宗は10万の兵力を率いて朝鮮に侵攻した。で、清の圧倒的な兵力の前に朝鮮軍はなすすべもなく惨敗を重ね、わずか45日で降伏。
これが「丙子胡乱」である。

このとき江華島に逃げた仁祖は清軍に捕らえられ、三田渡で降伏の儀式が行われた。この儀式は屈辱的なもので、仁祖は太宗に対し三跪九叩頭の礼(三度ひざまずき、
九度頭を地にこすりつける)をもって清皇帝を公認する誓いをさせられた。
そして三田渡の地には、後にこれを記念した大清皇帝功徳碑(三田渡碑)が建てられることになる。

韓国では、この碑を「恥辱碑」と呼ぶ。
それは、この碑に以下のような内容の文が刻まれているからだ。

愚かな朝鮮王は偉大な清国皇帝に逆った。
清国皇帝は、愚かな朝鮮王を窘め、この大罪を諭してやった。
良心に目覚めた朝鮮王は、自分の愚かさを猛省し、偉大な清国皇帝の臣下になることを誓った。
我が朝鮮は、この清国皇帝の功徳を永遠に忘れず、また清国に逆った愚かな罪を反省するために、この石碑を建てることにする。
(要約)

この屈辱の儀式のあと朝鮮は、「三田渡条約」と呼ばれる、これまた屈辱的な条約を清に呑まされる。

大淸皇帝功德碑の原文(漢文)はこちら
http://zh.wikisource.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B7%B8%E7%9A%87%E5%B8%9D%E5%8A%9F%E5%BE%B7%E7%A2%91

日本語訳はこちら大清皇帝功徳碑の要約

Jijyokuhi3













この写真のレリーフは韓国政府が作ったもので、「大清皇帝功徳碑」のそばにある。
清の太宗の陣地があった三田渡の受降壇で、仁祖が太宗に対して三跪九叩頭の礼を行い、清皇帝を公認する誓いをさせられるという場面を描いたものである。

「受難の歴史が渦巻くこの場所で、我々はこのような汚濁の歴史が再び繰り返されないよう、民族的自尊を高くし、自主、自強の意志を固く決意しなければならない」

レリーフの文末には、このように書かれている。これは、1982年当時の全斗煥・軍事政権のころに書かれたものだ。
「受難の歴史」「汚濁の歴史」、この言葉に韓国・朝鮮の歴史的、民族的無念が示されている。誇り高き韓国・朝鮮人にとっては受け入れがたい歴史だが、これが事実であることがさらに彼らの自尊心を傷つける。

参照:よみがえる?「対中/屈辱の碑」 (毎日新聞)

この清によってもたらされた「受難」「汚濁」から韓国を解き放ったのは「自主、自強の
意志」ではなかった。屈辱的な「三田渡条約」を破棄し、晴れて独立の身になれたのは清が日本に敗北したからである。
つまり、日本のおかげで「受難の歴史」「汚濁の歴史」を断ち切ることができた。
が、これまた韓国・朝鮮にとっては屈辱だった。北狄(野蛮人)から受けた恥辱を東夷(とうい=未開人)の力を借りて晴らすことになったからである。

で、結局、韓国・朝鮮はこの後も「自主、自強の意志」を固めることはできず、日本の統治下に組み込まれることになる。そして、この日本による統治から解放されたのが米国のおかげ。
ここでも「自主、自強の意志」とは無縁のまま独立を果たすことになる。で、独立後は
今度、南北に分かれて同じ民族同士で無残な戦争を引き起こしてしまう。片方はソ連、もう一方は米国の後押しを受けて。

つまり、韓国・朝鮮は中世から近世~近代にかけて一度も「自主、自強の意志」を貫いたことがない。この屈辱が「民族的自尊を高くし、自主、自強の意志を固く決意しなければならない」という言葉になって表れるのだ。
狂気じみた「反日」も、盧武鉉という低脳な政治家を「反米」主義者というだけで大統領に選んだのもこのためだ。

このあたりは、拙著『韓国が世界に誇る ノ・ムヒョン大統領の狂乱発言録』をお読みいただければ、よくわかると思う。

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中国の「反日」は政治的に作られたものだ。一方、韓国のそれは歴史的、民族的な理由による。

したがって、中国の「反日」は中共の都合次第でどうにでもなる。
今、中国では自らが蒔いた「反日」の種が大きくなりすぎて、逆に中共体制を脅かすまでになっている。だから中共は「親日」宣伝に努めている。

「赤い疑惑」を再放送したり、米倉涼子主演の「女系家族」や「黒革の手帖」を放映したりしているのもそのためだ。
もちろん、中国進出にブレーキがかかりつつある日本から、より一層の資本と技術を引き出すことも狙いの一つである。

一方の韓国は、盧武鉉政権がハンナラ党(保守)政権に代わっても、その「反日」は本質的には変わらない。おそらく経済的に、文化的に「日本に追いつき追い越す」までは、「反日」は今のままだろう。
そして韓国が日本に追いつくことは、この先100年間はありえない。

結論として言えることは、狡猾な中国も愚かな韓国もわが日本国の友好国にはなりえないということだ。
むしろ、「近隣国とは利害が対立するのは当たり前だ」という心構えで、「敬して遠ざける」という態度を貫くべきである。

【注】
“A級戦犯”が靖国神社に合祀されたのは1978年、中国がわが国首相の靖国神社参拝を非難し始めたのが1985年。
が、この時も、胡耀邦政権は自制的で、むしろ日本の野党(社会党)が煽り立てている感じだった。

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2007/04/28

破綻した「反日」策謀―売国勢力を粉砕せよ!!!

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また一つ、戦後に終止符が打たれた。
第2次大戦中に「強制連行された」として、日本企業に損害賠償を求めた中国人の訴えが、最高裁第二小法廷で棄却されたのだ。
これで原告敗訴が確定した。

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「原判決を破棄する」。裁判長が読み上げ始めた判決主文は、傍聴席から上がった「なぜだ!」「不当判決だ!」という怒号でかき消された。戦時中の被害から60年余り。苦しみ続けた原告らが投げかけた問いに、司法が正面から答えることはなかった。

「不当判決だ」「真実に目を背けるな」。判決言い渡しの瞬間、傍聴席から声があがった。

記者会見した原告の邵義誠(シャオ・イチェン)さん(81)は「裁判所が自ら責任を免れたいという判決だ」と無念さをにじませた。

「不当判決」と大書した紙を手に支援者らの前に現れた、原告を支援する土屋信三さん(56)は「ふざけた判決。歴史に汚点を残した。だが、強制連行や強制労働などの事実や安全配慮義務違反は、高裁までに認定されている。道義的責任を取らせたい」と語った。

~中略~

90年代に入り、強制連行の実態調査をしていた中国・河北大学の調査チームや日本の市民団体の訪問を受けた。西松建設が「雇用主」だと初めて知った。半世紀ぶりに訪日し、謝罪と賠償を求めたが、西松は強制連行の事実さえ認めようとしない。98年に提訴した。

〈今生恨みは晴らせぬか 泣き寝入りかと口惜しくも〉〈思いがけずにようやくに 恨み晴らすは今日にあり〉――。

憤りを詩に書いた。

判決後の記者会見。宋さんは、車いすの上で声を絞り出した。

「最後まで、たたかっていく」

「不当判決なぜだ」原告、拳振り上げ抗議 強制連行訴訟 (朝日新聞)

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最高裁(中川了滋裁判長)が棄却した理由は「72年の日中共同声明は個人の損害賠償等の請求権を含め、戦争の遂行中に生じたすべての請求権を放棄する旨を定めたものと解され、裁判上は請求できなくなった」というものだ。
これは、中川裁判長のほか、今井功裁判官、古田佑紀裁判官の計3人の一致の結論。これで、慰安婦訴訟などの他の継続中の戦後補償裁判のすべてが敗訴を決定づけられたことになる。

私は、中には強制連行の事例もあったと思っている。これは慰安婦の場合も同じだ。が、それは国家や企業による組織的、あるいは計画的なものではなかったと確信している。
戦後の貧しい時期にも、土木現場には「たこ部屋」と呼ばれる、悪質な業者が甘言を弄して誘い出した労働者を拘束し、徹底的にこき使った挙句、賃金はむしり取るという過酷な実態があった。そこにおいて労働者は人間扱いされなかった。
したがって戦前の土木現場において同様か、それ以上のひどい事態があったとしても少しも不思議ではない。
もちろん、これらの行為が人道上許されないことは当然である。が、それが企業の賠償責任に直結するかとなると疑問が多い。
もちろん、それらの労働者を使役した道義的責任はあるだろうが、それも含めて「72年の日中共同声明」において解決(放棄)されていると解釈するのが自然だと思う。これは韓国人慰安婦の問題が「65年の日韓基本条約」によって解決(放棄)されているというのと同じである。

ただ、一人間として考えれば、彼ら、彼女らには同情の念を禁じえないし、悪辣な連中に対しては激しい怒りを覚える。

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ところで、私がもっとも問題視すべきだと思うのは、今回の訴訟が「日本の市民団体の訪問を受けた」ことによって引き起こされたことである。これは、いわゆる“従軍慰安婦”問題や靖国問題とまったく同じパターンである。
“従軍慰安婦”問題を当時の盧泰愚政権は騒ぎ立てたくなかった。それは、問題が韓国政府の過去の対応に遡るからであり、軍事独裁政権の一翼を担った盧泰愚大統領(当時)にとってそれはプラスにはならなかった。
靖国問題も同様である。当時の中国の胡耀邦政権にとっては、走り始めたばかりの「改革開放」を軌道に乗せることが最優先だった。だから最大のスポンサーである日本との関係を悪化させたくなかった。
ところが、である。
“従軍慰安婦”問題も靖国問題も、業を煮やした日本人のジャーナリストや政治家が相手国に乗り込み、問題を煽り立てたのである。
つまり「日本の市民団体の訪問を受けた」ことによって引き起こされた今回の訴訟は、
もう過去に何度も経験した「反日」プロパガンダと同じ、「日本から日本へ」という構図によるものなのである。

「反日」プロパガンダは、今や“重慶大空襲”訴訟や東京大空襲訴訟という形で繰り返し行われようとしている。事件の中心にいるのは、相変わらず同じような顔ぶれである。
その核は“日本人”だ!!!

つまり、いつまで経っても、どこまで行っても、日本人による日本攻撃が繰り返されている。これが、これらの「反日」訴訟の本質なのである。
では、なぜ日本人が日本国を攻撃するのか???
これは崩壊寸前の日本左翼の焦りにある。

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1970年代前半、わが国には革新政権(共産党の言う「民主連合政府」)が樹立されそうな雰囲気があった。東京や大阪を始めとするほとんどの大都市が革新自治体(社共連合)になった。
ところがである。
70年代後半から80年代にかけて、ベトナム反戦、沖縄返還、公害問題、三里塚(成田)空港問題等々の左翼的政治課題がなし崩し的に消滅していった。
一方において、日本社会は飛躍的に豊かになり、福祉等の左翼的政治課題を自民党が解決できるようになった。中曽根内閣は「戦後政治の総決算」という、それまではタブーとも言えた政治スローガンを掲げるまでになった。
ここにおいて社会党や共産党(社共)は、その支持を一気になくしていった。ソ連の崩壊がそれを決定づけた。
もう、日本の左翼は断崖絶壁にまで追いつめられたのである。

そこで噴出してきたのが「反日」日本人による“日本攻撃”だったのだ。

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もはや、日本で左翼が主流になることはない。朝日新聞がいくら力んでも、もうそれはありえない。
民主党が政権を取る可能性はゼロとは言わないが、民主党の3分の1は自民党より自民党的だ。
だから民主党政権になっても、極端に左傾化することはない。
民主党内に巣食う旧・社会党勢力が支持を得るところは沖縄か北海道くらいだろう。

だから「左」の連中は焦るのだ!!!

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